Lesson

読んだり、飲んだり

滋養強壮

周囲の影響で読んでいる開高健の『日本三文オペラ』に「セキフェ」なる食べ物が出てきた。豚の子宮を中の胎児ごと細かく刻んだものを生のまま食べるもののようだ。「朝鮮語でセキいうたら赤ン坊、フェは刺身ちゅうこっちゃ」。一口で、うつ伏せに寝られないほど効くらしい。

同様のもので、昔テレビか何かで孵化しかけた鶏の卵が珍味として紹介されているのをみた覚えがある。それも効能は滋養強壮であったと思う。

なぜ、生まれる間際の生き物を食べると滋養強壮に、早い話が生殖能力の一時的な向上に効くのか。生まれるために必要なエネルギーが凝縮されているからということなら、身体のどこに効いたってかまわないではないか。それとも、そこが目立つだけで実はもっと広範に効いているのだろうか。

子供の頃にうんざりするほど聞かされた「いただきます」の意味合いが頭をよぎるが、それでは面白くない気もする。