Lesson

読んだり、飲んだり

いいひと

さっぱりと女っ気がなくなってから久しい。ありがたいことに、周囲の友人たちは私の臆病な気の配り方のためだと言ってくれる。進んでお言葉に甘えてきたが、たぶんそれはいけない。変えられるところは変えるべきだ。

これでも、何もしてこなかったわけではない。専攻が決まりだした頃、同じ学科の綺麗どころに声をかけていたこともある。いかにもお嬢様といった品の良さと距離感のあやふやさを湛えた彼女と何とかして関わりを持とうと、「薄桜鬼」の話を一生懸命にした。当時、肌に合わない食器用洗剤で洗い物をしていたせいで左の手のひらに無数の水泡ができ、それが破れ剥き出しになった皮膚から滴る黄ばんだ体液をせき止めるために包帯を巻いていた。彼女はそれを見て「大丈夫?」と心配してくれたが、やはり気色悪かったことだろう。今では百均で買った厚手のゴム手袋をはめて洗い物をしている。