Lesson

読んだり、飲んだり

Something to eat

鬱々とした気分を晴らすためにものを食べるということはよくあることだ。もちろん、食事という行為が性的な欲望と容易に結びつくということは誰しもが知るところである。ただ、そんなことを考えながらものを食うことはない。

気晴らしのための食事には二通りの手段がある。ひとつは贅沢なものを少しだけ食べること。そしてもうひとつが、安っぽいものを大量に食べることである。どちらがどうということはない。経済的な状況と、そのときの気分によってどちらを採用するかが決まる。

いまの気分としては後者である。そろそろ初鰹の季節だ。十分贅沢かもしれないが、これを多少乱暴に、たたきにして食いたい。できあいのものではなく、ごろっとした鰹の柵を焼き目がはっきりとつくくらい、少し焦げすぎたかと思うくらいに炙って食べたい。もともと締まった身を氷水で更に締め、2センチほどに分厚く切り、しょうが、玉ねぎをこれでもかと散らして食いたい。淡麗な飲み口の日本酒でも用意できれば言うことなしである。

じゃがいもなんかもいい。薄い黄色が溢れるほどのじゃがいもを鍋で蒸して、いろんなものとあわせて食ってみたい。塩やバターはもちろん、塩辛、ケチャップ、マヨネーズ、明太子などなど。大きく頬張り、口の中でまごつくじゃがいもを冷えたビールで一気に流し込みたい。

酒がなければダメなのかというとそうでもないのだが(ペパロニピザにコーラなんかはとても良い)、いまの気分はこうである。