娑婆
何がとは言わないがようやく終わった。ただひたすらにつらかった。
担当の形だけの放任主義と私の間の悪さが見事に噛み合って、最後の最後までお互いを認めることなく終わった印象だ。準備をないがしろにした自分の責任が大きいが、本当に体を壊すかと思った。精神的におかしくなる人もいるということが腑に落ちた。
私の場合、働きながら何かをするということはよほどのことがない限り無理だと思った。特にこの手の職業では。ここのところ、帰ってきてパソコンを開くということすらままならなかった。いわんや、本など全く読めない。何かしらをしていても常に次の日がちらつく。
それにしても、しばらくやってみないうちに驚くほど社会適合能力が下がっていたことに驚いた。相手を前にしてどもるなんてしばらくぶりだった。社会的な立場が上の人間とのコミュニケーションが下手くそになってしまった。ワンセンテンスを言い切らないしゃべりがやはり原因だろう。拾ってくれる人間が多い環境では困らなかったが世間ではそうもいかないらしい。当たり前か。
挨拶、お礼、報告、連絡、相談……。
計画を立てる能力を身につけないといけないのだということは分かった。確かに無計画に生きすぎたきらいはある。どこかでそのしわ寄せがくるだろう。今からでも先のことを考えるか。それはもうしょうがない。