Lesson

読んだり、飲んだり

Another Day Of Sun

やっと「ラ・ラ・ランド」を観に行った。

アナと雪の女王」を観たことで、自分にはミュージカル映画が向いていないと思っていたが、今作は意外に楽しかった。というのも話は単純で、この作品では歌や踊りがストーリーから分離しているからだろう。話があって歌や踊りがある、ということではなく、歌や踊りののために話がある。出来の良いミュージッククリップをいくつか観たといったところなのかもしれない。

時代設定がどうとか話のつじつまがどうとかいっても始まらないタイプの映画だとは思う。キャラクターに関しても主役の二人以外は特に見るところもない。書き割りめいている。

画面にあふれる色味やオールドスクールな風景はやっぱりそれだけで評価できる。これだけの映画だと言われても、肝心のそれが良いのだからもうそれでいいと思う。歌も踊りも良かった。とりわけ冒頭、ハイウェイ上でのミュージカルは最高だった。多幸感があった(トラックの荷台で楽しそうにパーカッションを叩く大柄の男!)。思わず上映中に足や手でリズムをとってしまうこともあったが、周りにそういう観客はおらず何だか寂しかった。

問題は前半と後半とで雰囲気が大きく変わってしまったことである。前半の明るさに満ちたミュージカルシーンは後半になるにつれなりをひそめる。もちろん、話の展開上そうなるのは当然なのだが、話の粗さやしょうもなさから、どうしてもノリきれない。さらに、静かで落ち着いた曲が増える一方で踊りは減ってしまう。もっと踊ってほしかった。

最後の場面。つまり、あったかもしれない時間を思い出の曲に託し、それをまさにあったこととして映像に表すあの一連のシークエンス。映画的には技巧があまりにも先行していて、ともすればくどい演出だったかもしれない。だが、私は好きだ。なんというか、音楽がやりたくなる。音楽があるいは託されるものとしてあるというすごさをイメージとしてみせてくれたように思う。実際、誰もがああいう感覚を味わったことがあるんじゃないか。ふとした一音に時間も空間も飛び越えた、夢想とも追想ともつかない万感の意をおぼえることが。

できうることならハッピーエンドで終わってほしかった。そうなることでこの作品がより平凡なものになったとしても。

ライアン・ゴズリングはやっぱりカッコよかった。スーツが似合う。ロサンゼルスに行ってみたくなったし、パーティーにも一度くらいは行ってみたいと思った。