危険な読書
本を読むこと、読むことそれ自体に危うさがあることを積極的に理解したい、しているといいたい。知識というよりは情報の、触れえるものへの自堕落な変換を振り払い、唾し、そのものとして触れようとする。
孤独の営み。
もちろん、書くこともまた。事情は変わらない。
「唯一の真の忠告者、孤独の声を聞くように」
下される命令などなく、寄る辺なく孤独の声を聞く。そうして生まれたものの、呪いめいた存在感。それに祟られることの痩せていくような愉しみ。
かくして、打ち上げられた浜辺で自身の足跡を見る。いや、見なかった。
際限のない繰り返しのなかで、生きること――読むこと――ができなくなる。ニーチェは孤絶のうちに精神病棟で死んだ。
ニーチェに友人はいたか。
死ぬくらいなら、賢しらな奴隷に……。
なってほしかったと果たしていえるか。
死なれたら困る。