橋向
近所の小さな動物園へ。
ほどほどの人出。
レッサーパンダはお休み。
繁殖用に番で飼われているオウムは、メスがオスの顔の羽を抜き、薄い桃色の地肌がちらちらと見えていた。それを防ぐために小屋を離すとストレスで二羽とも具合が悪くなるらしい。
プレーリードッグを指差して「パパ、あれなに?」と叫ぶ娘に「ネズミみたいなやつ」と答える父親。
ペンギンを見に来て、「生臭え」と言って子どもより先に離れる父親とその横をついていった親戚だか友達だかわからない年かさの近い男の手には17アイス。
ふれあい体験の時間は終わっているのに柵の外から手を出してヤギを呼び寄せるおばさん。常連のおもむき。
アリクイがでかくて怖いというモード系のお姉ちゃん。
さんざん猿を構っていたのに突然、「つまんねえや、臭いし」と言って足元のボールを抱え上げて走り去った黒人の子。
名古屋に覚えた感覚はここで培ったのかもしれない。橋の向こう。大した差はないのにね。