デジャヴ
最近の小説が読めなくなってきている。
わからないからではなくて、わかりすぎるからではないかと思っている。
書いているときを思い出してつらくなるのだ。
この語彙、おれも選びそうとか、こういうことをやろうとしたとか、そんなことばっかり頭に浮かぶ。実際のところ、そんなわけはない。語彙もその配置も、いかなる試みも、たぶんおれはできないし、やらない。そもそも、そこまで読めているのか。自惚れたデジャヴ。
ありもしないし、あったこともないし、あるようにもならないだろう自分を、あちこちに見つけてしまう。もしかしたら、それが良い小説なのかもしれない。
そういう小説に出会ってしまう機会が増えた。一度そうなってしまえば、その作品の個性は失われ、おれのものになってしまう。おれはおれのものが嫌いなので耐えられない。
だから、昔のものをよんだり、海外のものを読んだりするようになってきている。すくなくともそういう匂いのするものを。